リハビリテーションのご案内

 皆さんは、リハビリテーションというとどんなことをイメージしますか?
 例えば、錘をつけて手足を曲げたり伸ばしたり、平行棒内で歩いたり、杖を着いてセラピストと一緒に歩いたり、汗を流しながら運動し、辛そうだなあなどと思われているかもしれません。
 このように、“リハビリテーション”=“機能訓練”とイメージされがちです。

リハビリテーションとは?

 リハビリテーションは、一般的に「リハビリ」や「リハ」と略されて用いられていますが、英語ではRehabilitationと書き、その語源はラテン語のrehabilitare からきています。re-[再び]+habilis[適する、ふさわしい]+ation[状態にすること]という単語から成り立っており、一度失ったものを再び取り戻すこと、回復することを意味します。

 

 すなわち、リハビリテーションは全人間的復権と訳され、個人が一生を通して生産的な生活を過ごして行くために必要な人生の課題や役割を満足に実行していく能力の維持と向上を意図しています。

 

 歴史的にみると、中世ヨーロッパにおいて、領主によって与えられた地位や身分がとり上げられた場合に、それらが後になって回復されて元の地位や身分に復 帰したり、教会から破門された場合にそれが取り消されることを“リハビリテーション”といいました。また、魔女裁判にかけられて処刑されたジャンヌ・ダル クや地動説を主張して宗教裁判にかけられ、自宅に監禁されたガリレオ・ガリレイが死後に名誉の回復がなされたことも有名なエピソードです。その後、犯罪者 の社会復帰という更生の意味も含まれるようになり、第一次世界大戦以後は、戦傷兵の職業復帰を含めた社会復帰に対して“リハビリテーション”という言葉が 用いられるようになりました。


 英和辞典でも“リハビリテーション”は、「再建、復興、復権、復職、名誉回復、社会復帰」と書かれており、“機能訓練”を示す言葉ではないことがわかります。

リハビリテーション・チーム(リハビリテーションに関わる職種)

 一人の患者様あるいは障害者の方は様々な問題を抱えています。これらの諸問題に包括的な対応を行うために、複数の専門職により領域を越えて協力しあうこ とが大切となります。この複数の専門職の集まりを“リハビリテーション・チーム”と呼び、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床心理 士・医療ソーシャルワーカー・栄養士・薬剤師・義肢装具士などから構成されます。

リハビリテーションの対象

■  脳血管疾患や頭部外傷、脳腫瘍、脳炎などの脳損傷疾患

■  パーキンソン氏病や脊髄小脳変性症、多発性硬化症などの神経筋疾患

■  骨折、脊髄損傷、変形性関節症、慢性関節リウマチなどの骨・関節疾患

■  心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸循環器疾患

■  糖尿病などの内部代謝障害疾患

■  脳性麻痺などの小児疾患

■  その他

高次脳機能障害のリハビリテーション

 当院では入院訓練,外来診療において高次脳機能障害の評価およびリハビリテーション訓練を専門に実施しています.
 高次脳機能障害は,脳卒中や脳外傷など,脳に損傷によって生じる特異的な障害であり,記憶障害や遂行機能障害,社会的行動障害などの機能障害により,社会生活や職業への復帰に支障をきたすことが問題となります.身体機能障害とは異なり,一見しただけではわかりにくい障害のため,専門的な診断,評価の分析,訓練指導の内容が重要です.
 高次脳機能障害の専門的な評価により,詳細な障害の質や重症度などの分析が可能となり,より障害に特化した訓練が可能になるとともに,代償手段の検討や社会への適応へのアドバイスを行うことができます.また患者さんご本人だけでなく,ご家族に対しても高次脳機能障害についての詳しい説明を行います.